
新しい酒文化創造を志すワクワクの蔵
五代目蔵元に今注目の仕組みづくりを見る。
梅乃宿酒造株式会社代表取締役・五代目蔵元
吉田 佳代 さんに学ぶ
所在地奈良県 葛城市
社長の事業定義
新しい酒文化を創造する業
- #日本酒文化
- #あらごし
- #日本酒リキュール
- #大人の果肉
- #梅酒
- #葛城
- #備前雄町
- #梅体験
- #ワクワクの蔵
吉田 佳代 さんの
学びのキーワード
吉田 佳代 さんのココに学びたい
- 「梅乃宿」が、とにかく好き!
…15歳の頃から、ここで働きたいと思っていた! - 驚きと感動で、世界中を“ワクワク”させる
…人と同じではワクワクできないでしょ! - リーダーは「決めない事」が一番の罪悪
…社長の仕事は「決めること」
会得のヒント
新しいことにチャレンジする、挑戦しないと未来はない。
同業者・周囲からのバッシングや逆境を受け流し、
チャレンジを続けること。
Movie
「大切にしている言葉」
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一つのエピソード
会社を受け継ぐ覚悟。
大好きだった家業の梅乃宿酒造へ入社後、プレッシャーから鬱になることもあった。その状況から何とか立ち直り、仕事も人間関係もスムーズに回り出す。しかし、それでも自分から「後継者になりたい」とは言い出せずにいた。
そんなある日、ある講演会で聞いた「リーダーは決めないことが一番の罪悪」という言葉にハッとしたという。はっきりと自分から継がせてほしいと、4代目の父へお願いをした。父の返事は「おまえに能力が無かったら継がせへんけど、その時は悪く思ってくれるな」だった。この言葉を聞いて、吉田は嬉しかったという。「大好きな娘からの願いより、会社への責任を重視する、これが社長なんだ!よし!父に認めてもらえるよう頑張ろう!」吉田の心にスイッチが入った瞬間だった。
その後、創業120周年の大イベントで、社長就任の発表が行われることになった。 -
成し遂げたこと
縮小ではなく、共感(欲しい)を拡げる
現在、日本酒を取り巻く環境はとても厳しい。全国の酒蔵は、平成12年に1977あったものが平成28年には1400へ減少。日本酒の国内出荷量も、ピーク時(昭和48年)の170万ℓから大きく下がり、令和5年には39万ℓと四分の一以下だ。
そんな中、梅乃宿酒造は5代目蔵元吉田が就任後も大きく売上げを伸ばし続け、また海外輸出も3割を占めるようになっている。令和5年には、日本マーケティング大賞奨励賞を受賞。梅乃宿酒造のブランド力を高めている。
吉田は言う、「少量で希少価値の高い日本酒を造りブランドを高めても、事業自体は拡大しない。若い人や女性が飲みたくなるお酒を造る。これからの時代に、世界中の人を幸せな気持ちに出来る新しい酒造りを模索し続けます」
吉田佳代さんの想いを読み解くキーワード
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1
事業継承
- ● 実家と蔵は隣接…蔵は遊び場、蔵人・社員たちは家族同然、の子供時代。
- ● とにかく好きで戻ってきた…社長が一番会社に関わることができる。
- ● 梅乃宿酒造は、吉田家のものではなく、続けていかねばならないもの!
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2
100年企業・老舗
- ● 創業130年でも酒造業界では新参者→だからこそ新しいチャレンジ。
- ● 先代4代目の父は養子→だからこそできた改革、それを近くで見ていた5代目。
- ● 日本酒の大幅な需要減少→厳しい時代だからこそ、大きな投資と借入で乗り越えた取組とは。
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3
新商品・新事業開発
- ● 梅酒、リキュール、焼酎、スパークリング、ジン…容器、ラベル、ネーミングにもこだわる。
- ● 130年目を機に新蔵の建設、本社移転…蔵見学やイベントも積極的に開催。
- ● 旧蔵、旧宅の活用も今後の課題…樹齢300年の梅の木が見ている。
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4
イノベーション・改革
- ● 杜氏制度から社員蔵人のチーム制日本酒造りへ→社員の自主性を育む。
- ● 組織があいまいだった家業を企業へ→ルールつくり・仕組みつくりが得意。
- ● 社長の重要な仕事→社員が気持ちよく働ける環境を創る事。
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5
社員教育・人材育成
- ● 会社が厳しい時も、若手の採用を続けてきたから今の梅乃宿酒造がある。
- ● 先代の言葉「1年を計る者は花を育てる・10年を計る者は木を育てる・100年を計る者は人を育てる」を
大切に守り続ける。 - ● 経営資源「人・モノ・金・情報」の中で、人が一番不確定で、一番面白い!
吉田 佳代 さんの哲学
「リキュールが良く売れているね」よりも「日本酒が美味しいね」よりも「梅乃宿酒造のスタッフは素晴らしいね!」と言って褒めてもらえることが一番うれしい。
お互いを思いやり、絆を深め、人を幸せにする新しい
酒造りを続けていく。

みちびらき・岩﨑 隆の着目ポイント!
創業130周年で建設された新蔵の見学コースは見ごたえ十分。お酒造りを体感できる素晴らしい施設だ。希少価値が高いだけの日本酒をつくるより、若い人や女性に飲んでもらえるようなお酒を造りたいという
5代目の想いの大きさが素晴らしいと感じた。日本食と日本酒だけではマーケットは限られるが、世界にはそれぞれの国に合う食べ物、フルーツ、自然、そしてお酒がある。世界中の酒場、BARで飲めるお酒を造れれば、まだまだ広がる梅乃宿って感じだ。

こんな方にはぜひお薦めです
- 日本酒好きの人、日本酒が苦手という人、梅酒好きの人、とにかく酒好きの人
- BtoBの事業からBtoCへの事業へ舵を切ってみたいと考えている経営者、会社幹部