重要文化財から故人の思い出まで
心と技で物語を次代につなぐ。
「紙製文化財の町医者」を名乗る修復職人。

株式会社工房レストア代表取締役

平田 正和 さんに学ぶ

所在地大阪府大阪市

社長の事業定義

紙製文化財の町医者業

  • #漉きはめ
  • #和紙
  • #古文書
  • #修復
  • #表装
  • #額装
  • #掛け軸
  • #レプリカ

平田 正和 さんのココに学びたい

  • 同業他社で価格を表記しているところは少ない。
  • 町医者というからにはお客様のご要望に応じる。
  • 体験型ワークショップ、依頼主と共に作業することも。

会得のヒント

修理の目的は残すことではなく、次世代に想いを伝えること。
重要文化財も、個人の資料も、等しく取り扱う。

Movie

「大切にしている言葉」

  • 一つのエピソード

    自然なきっかけと、心に湧いた使命感。

    平田は高校卒業後、浪人生活中にたまたま友人の叔父の会社にアルバイトに行ったことで、この道に入る。すぐ辞めるつもりが、せっかく習得した技術を活かしたいと自分から頼んで正社員となる。ところが、である。自身35歳となる誕生日にその会社が倒産、以前から師と仰ぐ人から35歳までに独立しなさいと言われていたこともあり、また前社長の応援もあり、お客様、お仕入先を引継ぐ形で独立することとなった。

  • 成し遂げたこと

    想定外のことに対応しながら培ってきた、
    想いをつなぐための様々なノウハウと材料。

    平田の会社は指定文化財と言われるようなものの依頼も受けるが、地方の町や村の文化財課や博物館、寺社、個人レベルの地域資料に力を入れている。地域の古文書、土地台帳、個人の掛け軸、巻物、写真や、先祖の日記、映画のポスターやプラモデルの箱まで、様々な依頼が舞い込む。人口減少や、地震や津波、大雨などの災害で多くの資料が失われていく事をくい止めたいとも言う。修復のために使う和紙が重要で、和紙の原料を自社でブレンドして使っている。原料から自社で取り扱っているところは他にはないという。今後は大学の先生などとも協力して地域に残る文化を伝える仕組みつくりまで考えたいと力強く語ってくれた。

平田 正和さんの秘密に迫るキーワード

  • 1

    職人でも、経営的な事を学ばないといけない。

    • ● あきんど塾、盛和塾、いろいろと学びの場を求めてきた。
    • ● 職人は目で見て覚えろ!これではやはりダメ。
  • 2

    経営塾で学んだ事。

    • ● 自社の存在意義を学んだ。
    • ● 自分の人生の目的を学んだ。それまでは「我」の塊だった!?
  • 3

    人材育成について。

    • ● 技術は後からついてくる。まずは人間性を育てる。
    • ● 職人集団だけど、ここに頼みたいと言ってもらえるために。
    • ● 技術伝承のための課題。マニュアル化だけではダメ?!
  • 4

    日本全国各地域の資料を大切に残しておきたい、いや伝えたい。

    • ● 個人や地域の資料は、その人が持っているから、その場所にあるから意味がある。
    • ● 田舎の過疎化で大切な資料がどんどん散逸している。
  • 5

    日本の風土に合った材料。

    • ● 和紙をつくる原料は日本産でないとダメ。
    • ● 和紙が世界遺産でも今、本当の大ピンチ!山の保護、生産者保護が必要。

平田 正和 さんの哲学

「真摯に生きる」
「誠に生きる」
この言葉に尽きる。

Profile

平田 正和(ひらた・まさかず)

  • 1973年

    大阪市生まれ

  • 1991年

    高校卒業後、浪人生活。アルバイトで表具店に入社、その後正社員となる。

  • 2008年

    勤めていた表具店が倒産。事業を引き継ぐ形で、独立開業。

株式会社工房レストア

Recommend

株式会社アクアス
代表取締役

大浦 昌尚さま

推薦人さまからひと言

「大切にする人」 私と平田さんの付き合いは12年ほどになります。なにわあきんど塾という経営塾で出会ったのですが、起業のきっかけや技術職がよく似ており、他人とは思えなかったのです。一言で言うなら「大切にする人」というイメージを持っています。絵画の先生、師匠、高野山の宿坊、仲間、ご両親を含めた家族、文化や伝統。今でも家族でのお餅つきなど全てにおいて大切にされています。そんな人だから、仕事においても物としてだけでなく、奥にあるものまで大切にしているのだと思います。そんな平田さんに天から与えられた天職なのだと思っています。

みちびらき・岩﨑 隆の着目ポイント!

明るく元気な平田さんは、常に学び、学びから自身の方向性を見出してきた職人だ。小学校の頃からの師匠、表具職人の親方、書道の先生、そして経営者の友、経営の師。いろいろな人から、働き方、生き方の影響を受け、自身で咀嚼し、真摯に学びを実践してきた人だ。

こんな方にはぜひお薦めです

  • 地域の価値ある文化財から個人の紙資料まで、修復・修理などに関心ある経営者
  • 職人・伝統工芸士などという立場で、事業を経営するため様々な取組みをしている人
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