ダンボールベッドで、
日本初の学会まで創ってしまった男。

Jパックス株式会社代表取締役社長

水谷 嘉浩 さんに学ぶ

所在地大阪府八尾市

社長の事業定義

ダンボール製品加工業

  • #ダンボールベッド
  • #東日本大震災
  • #避難所

水谷 嘉浩 さんのココに学びたい

  • 単なるボランティア活動で終わるのではなく、
    日本の避難所環境をダンボールベッドで良くしていくのだと
    いう発想力と、自ら4トン車を運転して東北の避難所に
    ベッドを届けた実行力はどこから来るのか?
  • 本業のダンボール会社の仕事は、100%社員に任せ、
    「報告するな、連絡するな、相談するな」でも、
    事業がうまく進むのはなぜか?
  • 本業のダンボール製造では
    極小ロット、極短納期対応で他社指導するほど。
    はたしてその実力は?

会得のヒント

実行力の原点は、
「仕事は何のためにあるのか」を考える習慣にある。

Movie

「大切にしている言葉」

  • 一つのエピソード

    雑魚寝が当たり前だった空間を変えたのは
    小さなダンボールメーカーの社長だった。

    きっかけは2011年3月におこった東日本大震災であった。
    同じ時代を生きているものとして、未曾有の災害に愕然とした。
    すこしでも力になりたいと現地に足を運び、たくさんの被害者の方々の状況に胸を痛めた。
    「避難所での生活の質を高め、避難者の二次的健康被害や震災関連死を少しでも予防したい」
    そして自分たちが出来ることとして、ダンボールベッドを開発し、届けるボランティアを開始した。
    さらに避難所にダンボールベッドを届ける活動を、全国で取り組むことができるよう、
    その設計図を、業界団体である全国段ボール工業組合連合会に無償で提供し、普及に尽力した。
    社会的に大きな貢献となっているこの足跡を、水谷はなぜ成し得たのだろうか?

  • 成し遂げたこと

    全国で注目、「ダンボールベッド」の成果。

    ある避難所で、長期の雑魚寝生活が原因で寝たきりになってしまった高齢の女性が、1ヶ月後に再訪すると手押し車を頼って歩けるまで回復していて、「ダンボールベッドのおかげ」と言われ、必ず役に立つと確信した。
    ● 暖かい、エコノミークラス症候群になりにくいなど、災害関連死の減少に大きく貢献している。
    ● 安価で丈夫、他の用途にも転用出来て便利である。
    ● 災害時にこのベッドを、被災者のために無償で提供してきた。
    ● 業界全体の取り組みとして全国で同じダンボールベッドが作れるよう、設計図を無償で公表した。
    ● この活動が、一般社団法人 避難所・避難生活学会の創設につながった。

水谷さんの実行力をひも解くキーワード

できること、
やりたいことは何か。

  • 1

    できること(強み)を活かす。

    • ● お客さまの要望に合ったものを、なるべく安く、かつ丈夫に作ること
    • ● 必要な時に必要な個数を納品できること
  • 2

    経験で能力を耕す。

    • ● 実際の災害現場に行き、そこで体制を考える
    • ● ルールは何のためにあるのか、意味のないルールや常識は守る必要はない
  • 3

    実践あるのみ。

    • ● 成功の確率をあげるためには、時間の使い方が重要
    • ● じっくり考えるより、実行しながら手応えで調整する
  • 4

    やる気を伸ばす。

    • ● 会議、報・連・相はなくていい
    • ● 提案する力、自分を認める力を育む
  • 5

    やりぬくこと。

    • ● 商品は作って終わりではなく、しっかり届ける、使ってもらう
    • ● 信念をもって周りを巻き込む

水谷 嘉浩 さんの哲学

経営者である前に、人であれ。
水谷さんは、祖父が起こした小さなダンボール製造会社の3代目の社長。創業者の祖父も、損をしてでも見てみぬふりはできない人だった。
「なぜ、利益もでないのにやるのか」と思われるが「プロとして事業を通じて社会に貢献できる」と、「世のため人のため」は、企業理念となっている。
さらに、徹底した3S活動、狭い工場空間や少人数のスタッフの活用の工夫や多品種少量生産・受注後即生産の実行、従業員全員が正社員でそのうち10%が障害者、独自の子ども手当支給など、小さな会社であってもその経営思想はユニークだ。
そこには、これから必要とされる会社経営のヒントがある。

Profile

水谷 嘉浩(みずたに・よしひろ)

  • 1970年

    大阪府生まれ

  • 2004年

    大阪府八尾市にあるダンボールメーカー・Jパックス株式会社代表取締役。

  • 2011年

    3月11日の東日本大震災をきっかけに、災害関連死を減らすため、災害時には自ら設計したダンボールベッドを避難所に届けたり、平時には全国の地方自治体と防災協定を締結する活動を継続している。その他「避難所・避難生活学会」の理事として、防災についてのさまざまな研究、啓蒙活動を行っている。2児の父。

Jパックス株式会社 一般社団法人 避難所・避難生活学会

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みちびらき・岩﨑 隆の着目ポイント!

●ダンボール製造会社としてもユニークで、本来狭い工場に入りきらないはずの機械を折り曲げて設置し、しかもそれをうまく生かして少数で動かしている。また工場内の3Sや生産革新に取り組み、その上
多品種少量の受注後即生産を実行している。
●避難所避難生活学会を作って事務局長になっている。海外との交流もできてきて、日本の避難所の環境向上の大きな役割を果たしている。

こんな方にはぜひお薦めです

  • 災害対策、避難所活動に関心ある人新しい学会まで創った人です。
  • 生産改善活動に取組もうとしている人3S活動、多品種少量生産に強みを持っています。
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